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January 29, 2005

『天使の殺人』を推理してみる4

第三幕も、191ページまで読み進んだ。

第三幕が明けて、妙な展開を呈する。

天使たちが、「死者をころころと変えてしまうのだ」

天使たちは青江を殺したが、自分たちの存在を人間界に悟らせるわけにはいかないので、
人間の犯人を作り上げなくてはならない。
天使が冤罪の人間を作るわけにもいかないので、バスの事故で死んだ人物を犯人役にしようと、
色々と工夫するのである。

しっかりと動機があり、犯行の機会がある人物にしようとするのだが、どの人物も上手く行かない。

青江の死因は、自分で持っていた睡眠薬の瓶に混入していた、青酸カリ入りの薬によるものだった。

薬瓶に毒を混入できたのは死んだ女優ではないか、と推理は進むのだが、誰かが意義をとなえて、
上手く犯人に出来ない。

最初は千春が事故死したことにして、彼女を犯人にしようとしていたのだが、皆の話し合いの結果、
犯人たり得ないという結論に達しようとした時、天使がリセットして、
事故死者をレイに変更してしまう。

うーん、ここまでメタな展開になると、夢落ちならぬ、作品内作品オチが見えてきた気がするなあ。

それでも、作品内の作品であっても、読者の納得する結末は用意されているはずだ。

レイが事故死者で、なおかつ青江殺しの犯人として推理しても、やはり毒物を混入させることは無理と言う結論に達してしまう。

・・・という所まで読んだ。

しかし、天使たちは事故死した女優を「北風みねこ」としなければならないはずなのに、
皆の話し合いでは、青江殺しの動機は、「青江がすでに北風みねこ役を決めていたからではないか」というもの。

それでは、犯人は「北風みねこ」に選ばれていなかった人物と言うことになってしまう。

ここに解決のヒントがあるのだろうか。

あと、ここまでで新しく分かったことに、『天使の殺人』の作者について青江が、「作者は北風みねこだ」と発言していたということ。
さらりと書かれていたけど、結構重要な気がする。

つまり、主演を決めていたとしたら、『天使の殺人』を書いていた人物であった可能性が高いのではないかということ。

あと、結局青江殺しと、「北風みねこ」殺しは、別の事件と考えてよさそうなので(北風の方は、あくまで事故死という体裁だし)
犯人は東京に残っていた人物でもいいんじゃないかってこと。

現在は事務員でも、過去に大怪我を負うまでは、女優志望だった黒川も、
作家「北風みねこ」候補には登らせることは出来るのではないだろうか。

つまり、『天使の殺人』の主役・北風みねこというのは、作者を指すのであって、その「作者役」こそ、
この芝居の主役であるとは考えられないだろうか。

つまり、黒川は自分が主役と言う約束で『天使の殺人』を書き出したのに、
青江はマスコミに主役候補として、3人の女優を発表し、当人たちにもその旨を伝えた。
黒川は自分が主役になれないと思い、青江殺害に至った。
・・・うーん、推理小説の場合、動機なんかよりトリックの方を暴かなきゃ、読者として負けなんだよね。

ところが、この小説の場合、そのトリックが大きすぎるのか、何がトリックだかも判然としないんだよなあ。

もうちょっと読んでみるとしよう。

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January 27, 2005

『天使の殺人』を推理してみる3

小説版『天使の殺人』は、序幕・第一幕・第二幕・第三幕・終幕という構成になっている。
順当に行けば、第三幕は解決編で、第二幕の時点で大体のヒントは読者に提示されている
と、考えて良いだろうと思われる。(終幕がエピローグ扱いだと予想してだが)
少なくとも、辻真先という作家は、そういう“探偵小説”のルールにこだわる作家だと思う。

でも、分からない(汗)
第二幕を読み終わった時点で、混乱したままだ。

第二幕は、第一幕より少し時間がさかのぼって、哀島の主役候補3人の様子を描写している。
ご都合主義といえばそれまでな展開だが、3人の女優がそれぞれ味方となる男を見つけ、
それぞれ互いに殺人計画を練る。

これまた偶然というのか、必然と言うのか、全員が、台風の中を無理に出した観光用のマイクロバスを、
殺人の舞台にしようと画策するのだが、
当然それらの計画がバッティングして、複雑に入り乱れた後、全てが頓挫してバスは停車する。

殺人は行われなかった、と思った刹那、バスは土砂崩れに飲み込まれてしまう、と言うところで第三幕へ
移ってしまうのだ。

しかし、物語冒頭に連絡が入った時、電話してきたのは、はっきり名乗りはしなかったが、
このバスに一緒に乗り合わせて、西園寺レイと共謀して他の二人を殺そうとしていた添乗員・大熊だったはず。
電話の内容も「北風みねこが死んだ」であり、「北風みねこたち」ではない。

それよりも、第一幕で死んだ青江の、死の状況がほとんど出てこない。
唯一、シナリオの体裁で天使と天使長が、青江を殺害しようと計画するシーンが出ている。

さて、何を推理したらいいのだろうか

第二幕の中ごろで、バス会社の所長・宮田(東田千春に篭絡されて、彼女の殺人計画に協力する)が読んでいる
シナリオの中で、天使たちが、今回死者をうまく導かなかったら、天界の法により、ふたりとも人間界に堕とされてしまう
ということが書かれている。

これによれば、元々天使長が引受けた「北風みねこ」というのは、芝居の主役の名前であり、実在しない人物だから、
天使たちがどんなに画策して、北風みねこをでっち上げようとも、
失敗は失敗と言うことになるのではないだろうか。

そうして、ふたりが人間界に堕ちた姿が、実は3人の女優のうちのふたりなのではないだろうか。
・・・って、物語の展開を推理しても、誰が死んだのか、誰が犯人か、全然分からないね(汗)

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